帝劇の怪人になりたかった

ミュージカルとかオペラとかが好きなたまに歌ったり演じたりする女の壁打ち

ケン・ヒル版オペラ座の怪人もとい我が名は人間ストーカーおじさん!見て来たんだ

我が名は人間推しの為なら息するように人を殺すストーカーおじさん!

格調が吹っ飛んで一気にギャグマンガテイストになりましたな。吸血鬼すぐ死ぬかよ。


訳:10年ぶりに生の舞台を見に行った人間が吠えたくなったので聞いてくれ

 


新宿ピカデリーのキンキーブーツの上映を見に行って、そしてこの1月、
ケン・ヒル版のオペラ座の怪人を見に行ってきた。
ポール・ポッツの生歌を聞けるのが嬉しくてたまらなかった。

大昔シアターコクーンに行ったことはあるが、渋谷という街は若者の暗黒街となる前の
ストリートカルチャー云々という時代を知ってる人間からすると
陰キャが行ってはいけない街、非リアのモルドールというイメージがあるので
行くのに躊躇する街なんですな。

ホラ、バカが東大の構内歩いてたら血祭りにされそうな感じというか。

 

シアターオーブ初めて行ったよ。
駅直結ということで2階の中央改札を出て正面の階段を下りその階のエレベーターで11階までビューン!と到着。
渋谷怖いけどこれならなんとか。

 


ホール内に入りますと深紅の幕とボックス席が!
それだけでブチ上がる!

開演前のざわざわした空気ってどんな演目でもたまらなく好きだ。
オーケストラピットをのぞくのも楽しい。
ミュージカルは生オケでなければいけない派の人間でございますどうもどうも。


全体的に年齢層が高め。


キャストはファントム役、ファウスト役はテレビのオーディション番組で出世した人、
クリスティーヌ役は動画サイトでの投稿で注目された人。何というか時代だなあと思うわし。

上演前のアナウンスが通常のアナウンスの前に「パリ・オペラ座へようこそ」とはいるのが心憎い。

この作品は「原作に忠実なオペラ座の怪人
ということでロマンスよりもホラー要素が強め。

歌は19世紀のオペラの曲に歌詞を乗せるというもの。

ふと小学生の頃、母親の影響でクラシックが好きだったのを上品ぶってるとか気持ち悪いとか言われて腹が立ったことも思い出してしまった。


アイドルの歌なんて興味ないとかいうお前のことをおかしいと無理やり自分の好き好んで聞いている曲を無理やり聞かせるという姉のことも思い出し怒りが私の身体の中で燃え上がり、その怒りの核になった「あるがままの自分の愛する世界を否定された悲しさ」をこの時代の音楽が全て包み込んで高揚させてくれてあっという間にどうでも良くさせてくれた。
ケン・ヒルよありがとう。世界は美しい。

 

ただまあなんだ。字幕が見えにくい。
アンケートでももちろん文句言った。

 

笑った演出として
支配人のオフィスに厩舎の馬丁が「白馬が盗まれた」の説明をするときの部屋の照明を落とす振りと灯りが落ちるときのカチカチいう効果音!
この場面では朝なんだけど昨夜起こった出来事で、怪人が攫っていった!という怪異感を出すためにわざと暗くするというのがありましてですな。

それがなんかおかしかった。

感性が昭和!脚本書いたの英国人だろ!なんで昭和のコントのノリなんだよ!

ラウルー!うしろうしろー!とかなんとか始まりそう。

 

ギャーピー管理人のオフィスで騒ぐ面々が気付かないところにデスクの後ろから現れる手袋に黒ジャケットの腕!

そう!ファントムが現れたのを観客だけが知っている。あらゆる仕掛けを自分の城であるオペラ座に用意し、それを駆使して支配人から下働きまで翻弄するファントム!

恐るべしファントム!

 

腕だけで存在感て何だよ。昭和ネタついでにガラスの仮面かよ。

 

凡庸な少女をスターダムにのしあげたという意味でファントムは月影先生てことでいい?

 

ジーナと5つの青い壺な。

 

クリスティーヌ……恐ろしい子!(やめなさい)

 

馬の名前はカエサルて!シーザーで良いべ?英語で!クリスティーンもリシャードも英語読みなんだから!

 

ムカついた点も指摘していいかな。
2幕の地下室に降りていくあたりで携帯が鳴った。
これ演出じゃないよね?一気に19世紀から現実に引き戻されたよ。


巨大樹の森でライナー・ブラウンにマジ切れするエレン・イェーガーみたいな顔に内心なった。


「てめぇふざけてんのか」

 

って梶裕貴の声で鳴らした奴に怒りたくなったよ。

地震がこの月の初めにあったばっかりだから、地震速報が入るようにしておきたかったのかもしれない。
しておきたかったのかもしれないがせめてマナーモードにしてくれ。
3.11のあと関東でも緊急地震速報があるから切るなとかいう話もあったとかいうが頼む。ほんと頼む。


原作に忠実ということでペルシャ人が出てきてくれるのが嬉しかったんだよ。
ペルシャ人好き。原作でも。スーザン・ケイのスピンオフでも。


「拳銃をこう構えるのです ハァッ」

ハァッてなんだよ波ァッて字ィあてんぞ。Y談おじさんかよ。

「フランス人らしく死にたい!」っていうラウルとラウルのパパンがラ・マルセイェーズをしょって心臓を捧げてくれるのにニヤっとしてしまった。

前回日本で上演したときの映像確認してみたらそんな演出なかったのにどういうことなのw
頭の中で自由の翼が鳴り響いたわ。装飾音がうるさいラジオ体操のような自由の翼流してくれ。
千秋楽の日は最後の進撃フェスの日だったのを思い出してしまった。


さてわしがいったのは千秋楽。ベン・フォスタースペシャルアンコールがある日だった。
このヒトはな、オペラっぽい方よりロックっぽい歌い方のが性に合ってるんだろうなって感じがした。

ファントムの時の「声で人を魅了し操る魔力のような力がある」という声がたまらん!

たまらんのだけど!ゲッセマネジーザスの独唱な、体中の血が沸騰させられるんじゃないかってくらいとんでもない衝撃があったんだよ。

 

うん。無理してでも見に行って良かった。


ベン・フォスター自由の翼歌ってくれたらわし泣くかもしれん。
Revoさんオタクの上級国民なんだからちょっとベン・フォスター自由の翼歌わせて見せてくれんですか(無理を言うな)


ついでにポール・ポッツOne Day More歌ってくれないかな。あの人の経歴から鑑みるとものすごく重みのある歌になれるんじゃないかと思うんだよ。
マチュア時代ミュージカルに出てたって言うじゃない。
ポール・ポッツレ・ミゼラブル上演されるんだったらわし這ってでも見に行くよ。

 

19世紀の華やかなりし時代のフランスの空気を引きずったままヒカリエにはオーバカナルがあったじゃないか!オーバカナルで食事して帰ろう!と思ったら同じ考えの人がいたらしく大行列だったため諦めて同じ階のハーベストカフェへ。

 

お茶飲んで感動も冷めやらぬまま少し休んで帰りました。
後ろの席のねーちゃんがレイヤーみたいな単語を話していたので何となく身構えてゆっくりできなかったのが少し残念。

 

いや、こういう感性の人間だもんでね、普通のオタクの人の感覚と距離がありすぎて居場所がないのだよ。だからこうして壁打ちをしているのさ。

ああ、一緒に観劇できて共感できる相手がいる人は幸せだね、と思いながら渋谷を後にした。