帝劇の怪人になりたかった

ミュージカルとかオペラとかが好きなたまに歌ったり演じたりする女の壁打ち

お姉さんちょっとエポニーヌ演ってみない?となった 愛と青春の宝塚見始めたよ 湖月リュータンver.その1

今の宝塚にも自分の拠り所を失いたくないゆえ耳を疑うようなことを言うファンにドン引きして夢も見られないのに昭和の、昔の宝塚の音源とかばかりあさっている今日この頃。

 

戦前の音源のCDまで探して手に入れてしまった。

オケの田舎の小学校の吹奏楽部でももっと揃ってるわ!というようなひどいオケでも、ああこの人の肉声を聞いてみたい!と思わせる人がいる。

 

それもあってなのか、

 

大昔年末年始のドラマで宝塚歌劇団が全面バックアップで当時注目度が高かった女優さんが第2次大戦下のタカラジェンヌ役を演じる!というのがありましてですな。

 

ああこのころのテレビ局ってまだ金があったんだねと思わされるようななかなかの絢爛豪華さと脚本の大石静NHKっぽいクサさ(民放だったけど)が特上の大トロを出された感じでしたハイ。

これのDVDも見つけたんでコレの感想も後程。

 

さてこの演目新宿コマ劇場のクローズ公演だったやつですな。

特上の大トロだった元のドラマを半分の尺にしたせいでストーリーはなんとも薄いダイジェストになってしまったのがもったいない。

 

湖月リュータンは「その時代に自分がトップスターになっていたら」という感じで約造りをされていた感じがして「舞台に立っていようと昭和だろうと平成だろうと人間が舞台を作っているんだ」という人間の本質は変わっていないから「永遠に輝くタカラヅカ」の価値があるのだというメッセージ性がある感じがして良き。

 

「没落した華族様のご令嬢」の男役タッチーの貴城けいですが。

ジェンヌになってからの戦前の男役っぽい貴公子っぽさが良きでござりますハイ。

 

平成の男役にしては線が細すぎて肩たたきされたのではと言われてたとかなんとかで悲劇のトップスターになってしまったけど本当に当時切ったやつ見る目がないと思うぞ。

 

冒頭のスターに靴を投げつけ、試験場に乱入して武庫川の川辺まで逃げるときのタッチー見て「お姉さんちょっとエポニーヌやってみない?」となった。

 

「スレてはいるけど自分の芯は絶対にぶれない」「子供の頃馬鹿みたいに溺愛されていた子供がどん底に落ちた」感がすごく出せるのではと思うんだ。

 

明るいドジっ子田舎もんの娘役ベニ、ヌケてるわ空気読めないわ食い意地が張っているわ。それなのに何か目を引くというギャルゲーのドジっ子かよ!というような設定モリモリの彼女を前向きで応援したくなる明るいドジっ子に好演していた映美くららさんに拍手!となった

(現実に彼女みたいなタイプいたら先輩にいじめられるし同期も敬遠するタイプなのではと思ってしまう自分がちょっとだけイヤになった)

 

ドラマの方であった「初舞台が済んだんだからさっさと見合いして結婚しろ」という両親に「まだ宝塚にいる!」って啖呵を切る場面も入れてほしかった。

 

初舞台の後、演出家の先生に「アタシよりかっこいい男なんていてへん!」と雪組のはずなのに花組ポーズをキメるリュータン。

初舞台後の下級生にジェンヌの心得を説くリュータン。を引き連れてすき焼きを食べに連れていくリュータン。

 

クセは強くても自分は組長でありトップスターとして組子を引っ張っていく!という気風の良いかっこいいリーダーなリュータン。

 

「公演を見に来て下さるお客様」への敬意があっての「トップの意地」が死ぬほどかっこいいリュータン。

自分にも他人にもめちゃくちゃ厳しいけどその敬意を知っているから組子の士気が高い組になるんだろうなと感じさせるスターの風格ってこんな感じだったんだろうなあと。

「古き良き昭和」のリーダーのかっこよさ全開のリュータン。

 

ドラマだと小学生だった子供の頃の手塚治虫が中学生の少年になっていたことで、「リュータンさんの相手役になれんかった!死んでやる!」「この川浅いで?」と川辺で泣きわめくベニへのツッコミの味が非常なNHK風味になっていたのがニヤリとさせられる点でございました。

 

川辺の土手でってどこの学園ものだよ!いや「生徒」なんだからある意味学園ものでいいのか?

 

劇中劇の稽古をつけてくれと演出家に頼むリュータンの娘役のセリフを通して「この人が好きなんだ」と突きつけられてモダモダする姿は本当に乙女で可愛い!

 

長くなったのでこの辺でその2へ続く!